聖域。

９月になろうという時、
アタシは初めてウリを自宅に招いた。
家族と同居しているウリの自宅に招かれたことがあって、
一人暮らしのアタシん家に招かないのは、
やっぱり問題だろう…と思ったんだ。

今まで
どうしてもウリを自宅に入れたくない理由があった。
ウリだけでなく、世の男性全員だ。

前にも書いたように、
アタシはウリと知り合う前、
約６年間片思いし続けた年下のオトコがいた。
６年も想い続けたんだ。相当、好きだった。
この部屋には、
そいつと過ごした思い出が山のようにあった。
捨てられないものもあった。
一生、捨てない…と抱え込んでいたんだ。
吸い殻だったり、空き缶だったり、
それはそれはしょーもないモノばかりだったけど、
６年のうちで残された僅かなカレの痕跡は
アタシにとって、何にも代えられない宝だ。

青や緑はカレの食器で、
ピンクや黄色はアタシのタオル。
カレの座る位置と、アタシが眺める景色。
まだ毎晩カレを想って泣いているのに、
こんな聖域に誰も通せやしない。

でも、いつかは消さなければならない想い。
ウリ、キミにカレを消せるだろうか…。