別れる理由 その２。

※１つ前のエントリから読んでね。

で、アタシは半ギレの状態で
『てか４巻とも持ってったらアタシ出来ないよね？
　そのうえバンドまで？無理だからね』
と低い声でウリに言う。
その瞬間、電話の向こうで小さな子供の声。

『バンドいるいるいる〜!!　ビリー、ビリー♪』

悪びれもせずウリの声が続く。

『…って、可愛い子供が言ってますが？』

ぷっちーん……。
もう完全にキレたよ。
子供を使うなんて、汚いことしてくれるわね。
小さいことを言うようだけど、
アタシだって、なけなしの金で買ったんだ。
人に貸す為に買ったんじゃないし、
やりたきゃ自分で買いやがれ!!!

その電話から、わずか１０分でウリが到着した。
アタシは袋にウリの海パンと、ビリー４巻を詰め込んで
駐車場に停まって待っていたウリの助手席に投げ入れて、
そのまま振り返ることもなくマンションに入った。
背中でウリの車が通過する音を聞いた。

は？？？
アタシ怒ってるんですけど!!??
獲物が手に入れば、さっさと退散ですか？？？

車から降りて、「どうしたの？」って聞くと思ってた。
４巻とも入った袋を見たら、
「ミサキの必要な分は借りれないよ」って
一部返却してくれると思ってた。

帰路の１０分を過ぎても、
電話の１つさえ鳴らなかった。

つづく。