ミサキの苦悩 １。

婚約破棄になるかも知れない不安も抱えつつ、
病気を理由に破談…はどうかと悩んで
とりあえずは時の経つのを待った。
ウリは、退職が決まってから案外、
フツウの生活ができ、フツウに外出もした。
病気がアタシとの生活が原因ではなかったようで、
日々アタシは母親のごとく、ウリにつけ回された。

朝昼晩と、食事を共にし、外出を共にし、
就寝起床を共にし、
アタシのケータイが鳴れば聞き耳をたてられて、
メールが届けば

『誰から？』

…と内容を確認される。
返事を打とうとしたら、横から覗かれる。
病気のことを誰かに話されてはいないか、
病気のことでアタシが遠ざかっていないか、
それがとても心配な様子だった。

正常なアタシにとって、
それは単なるストレスでしかない。
自分のプライバシーが失われてゆくストレス…。
自分の時間が１分もないストレス…。

そしてアタシはこれらのストレス以外に、
もっとディープなストレスを
誰にも相談できないまま、抱え込んでいた…。